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2017/04/02

独立ノススメ

5年前に決めたことと、5年後の今

独立して、早一年。
いろんな人に、独立してみてどうですか?と訊かれるのですが、とりあえずこの一年ではそこまで「進歩したー!」っていう感じはなく、まあ何とかボチボチやってます、というような按配です。

結果から言うと、
とにかく何とか昔のツテでいただいた仕事が大半で、このサイトを見て仕事をくださった人は、1件のみ。
それでもこのサイトが私の顔代わりとして果たしてくれた役割は大きく、やはり初見の人にも説明しやすいです。名刺やメールからアドレスを辿って「見ましたよ!コーディングも少しされているんですね」などと、声をかけてもらえたり。

今見返すと(サイトの)仕様を変えたいなと思うところもチラホラ出てきましたが、2年目くらいまでは今の感じでやっていきたいと思います。
それで全く個人的なことなのですが、良い機会なので、上京してからこっちのことを少し振り返ってみることにしました。

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5年前に東京に上京した時、私はほぼノープランで、とりあえず事前に日帰りで見学して決めておいたシェアハウスだけには住めるといった状態で、瀬戸内から引っ越してきました。就職先も決まっていないままだったのでせめて何か足がかりを作らねばと思った私は、宣伝会議の編集者・ライター養成講座に通うことにしました。

それなりの値段はしたので、割合豪華な先生陣で固められていて、例えばcakesを設立する前の加藤氏だとか、AERAの元編集長の方がネタ出しの手法を教授していてナルホドと思った覚えがありますが、それより何よりやっぱり金銭的な不安が大きすぎてさっさと仕事を決めてしまった私は、結局課題をこなすことなく卒業してしまいました。編集プロダクション1年目はやはり忙しく、取材の課題より目の前に迫る締め切りをとってしまったのです。

入社した編集プロダクションは想像通り、というか想像以上に忙しく、定時は9:30〜22:00、忙しい時は連日終電、徹夜、泊まり込み、休日なし当たり前でした(もちろん手当てなんてありません)。やはり編集者は基本的に体力がないと務まりませんね。徹夜明け、炎天下のなか出版社の編集部にお使いに出された時は、ああこれで倒れたら休めるなーと思ったものです。とはいっても、上司はもっと頑張っているんですよ。それまで数々の厳しい修羅場を生き抜いてきた人は、体力も根性も段違い。ただ、毎年毎年同じような本を出すことに追われて、気がつけばその環境で古株になっているというのは怖いなと、漠然と感じていました。

それでなんとか独立して仕事はできないものかと思い会社を辞めた私は、とある自治体が地域ビジネス活性のためにつくったシェアオフィスの運営をしながら、独立起業のためのプログラムを受けることにしました。
運営者が社会起業系だったこともあり、出版とはまた違った「教育」やら「就職」やらをテーマとしたサービスを考えていたのですが、思えば編集プロダクション時代の経験も強く関係していたのかもしれません。その頃から私は、全ての人が最大限に能力を発揮できることで、みんなが楽しく生きられる社会が実現できればなと考えるようになりました。

プログラム自体は半年と期間を区切られたものだったので、その後はまた別のシェアオフィスで働き始めました。そこは空間やまちづくり、そして働き方のデザインについてイベントや出版物やらで名前が挙がっていたものですから、大いに独立の参考になるかと思ったのです。果たして、結果はその通りでした。独立したあとも仕事をくださったり、そこのメンバーさんにお仕事をいただいたりして、今の私に至っています。

実は5年前、瀬戸内を去る時に、私は宣言していたことがありました。
「本を作る会社を作る」と。
その時は、まあ99%無理だろうなと、自分でも思いながら発言したのです。
結局「会社」という形ではないですし、出版社ではないですが、個人で編集者・ライターとして仕事をいただいている5年後の今、なんとなく自分で決めていたことは実現できるものなのだなと感慨深く思います。

この前取材した方も「とりあえず、無理だと思ってもえいやとやってみたら、本当になんとかなる。最初は信じられなくてもやり続けていれば、いずれは楽しい世界が待っているから」と仰っていました。よく言われるフレーズかもしれませんが、その方の経験を伴った言葉は、深く心に響きました。
勿論はっきり言って私は相当まだまだな所にいますが、この「やってみればなんとかなる」、これは本当にそうだと思います。ですから、この文章を読んでいて色々と思い悩んでいる方がもしいらっしゃれば、行きたい世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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